横断的な体験による価値提供を実現するためのシステムデザイン人材の育成
業種・業界 | ビジネス人材育成・教育 | |
規模 | N/A | |
対象事業 | 2019年2月経済産業省委託事業『「未来の教室」実証事業』(経済産業省:平成29 年度補正「学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)」) |
概要
経済産業省の委託を受け、システムデザイン人材に必要なスキルを体系化し「システムデザイン人材スキル標準」を策定しました。
事業の背景と狙い
産業界では、従来の業界・業種の枠を超越した横断的な体験を、価値として提供する必要性が高まっています。しかし多くの企業では十分に競争力を発揮することができていません。これは部署の区分が従来どおりで変わらないといった組織の問題もありますが、そのための人材スキルが不足していることが大きな要因となっています。
そこで2018年度の経済産業省委託事業として、産業構造の大きな変化の中で求められる横断的な体験を作り出すための”システムとしてデザインする”という新しいスキルについて定義し、これを習得するために必要なスキル標準や講座体系を整備しました。
スキル標準と講座体系のスコープは、横断的な体験による価値提供において競争力を発揮するために、対象をシステムとしてデザインする人材としての求められる基礎的な能力の育成です。例えば自動運転システムやグローバルビジネス、インフラシステムなどの高度な設計に求められるシステムデザイン(システムズエンジニアリング等)能力は本スキル標準の対象外としました。
システムデザイン人材スキル標準の対象は、主にメーカー等の開発職や企画職のジュニア〜課長職です。グローバル化やテクノロジーの進化といった外部環境の変化を理解し、新しい環境に対応した新たな事業の検討、既存事業の革新検討などを、技術の側面からだけでなく価値創出、ビジネスの側面からも、システムとして俯瞰的に検討し、デザイン、実行していく役割を担う人材を育成する。これが本事業の狙いです。
提案内容
1.システムデザイン人材スキル標準の策定システムデザイン人材スキル標準は以下の目的で使用することを想定しています。
- 企業を取り巻く現在の競争環境における高付加価値創出人材を育成する
- システムデザイン能力育成講座設計と運用のガイドラインとして
- 異なる専門分野間での共通言語を醸成する
スキル標準として以下のドキュメントを提供しました。
- スキル標準フレームワーク(1枚)
- スキルシート(19枚)
- スキル標準習熟度レベルの定義(1枚)
- スキル習熟度レベル対応表(4枚)
これらは公開されています。(リンクは記事下部を参照)
システムデザインの具体的なスキルとして、SEE(システムとして見る・捉える)、DESIGN(システムとしてデザインする・設計する)、TEST(システムとして評価・検証する)、MANAGE(システムとしてマネジメントする)という4つの能力領域に大きく分類しました。それぞれの領域における各スキルを、概要、目的、得られること、について記述し、各スキルを構成するハードスキル、ソフトスキル、メタスキルについて特定しスキルシートに整理しました。
例えばSEE領域の「システムズアプローチ」スキルシートは、以下の通りです。
スキルは、知識として知っていることと、それを理解して使えること、さらには、いつどんな時に何の目的でそのスキルを使うべきなのかまでを理解して使っていけるために獲得するものは異なります。これをそれぞれハードスキル、ソフトスキル、メタスキルとして整理しました。
一定の職種や業種に限定せず、幅広い業種・業態・職種で汎用的に利用できるものとしました。高度な専門性が求められる応用システムデザイン能力への橋渡し的なスキルという位置付けです。
2. 習熟度レベルを定義習熟度レベルを定義
スキル標準フレームワークで特定した4領域のスキルを獲得する結果として得られる習熟度を、Level1のAwarenessから、Novice, Supervised Practitioner, Practitioner, Lead Practitioner, Expert、Global Expertまでの7段階のレベルで定義しました。
結果
経済産業省『「未来の教室」実証事業』として実施した本プロジェクトは、knots associates設立(2019年5月)前の2018年度に前職innovative DESIGN LLCにて富田、渡辺が担当し、成果物は経済産業省「未来の教室」実証事業一覧の以下のリンクで公開されています。
プロジェクトマネージャーコメント
社会の不確実性の高まり、変化の速さに伴い求められる結果が変わる中、それを作り出す思考や方法論も変化します。システムとして統合的にものごとをデザインしていくことが求められる今、システムとして立体的に物事を構造的に捉えデザインしていく力の大切さを、本プロジェクトを通して改めて感じました。
実施期間
2018年7月〜2019年2月
(富田・渡辺分社化前innovative DESIGN LLCにて実施)